Steinway & Sons Showroom and Office
Interior
Dates: 2015/3-2015/8
Site: Tokyo, Japan
Building use: Office
Site Area: --㎡
Total Area : 800㎡
Photo by Nacasa & Partners
■スタインウェイの響きを象徴するファサードの弦スクリーン
スタインウェイピアノ構成部品数とほぼ同じ約12000本のステンレスワイヤーをファサード面に張りめぐらせる。
ピアノには20トンもの弦張力がかかり、それによりピアノの響きが生まれている。それと同様に、ワイヤーにかけられた目には見ることのできない張力によって、精巧に作り上げられたピアノ内部のような 静謐さ・緊張感を空間にもたらす。
また、スクリーンの前を通るとモアレ現象によって、スクリーンがゆれているように感じられ、あたかも音楽を奏でるかのようなファサードとなっている。
「スタインウェイピアノは家族の大切な一員である」というコンセプトを実現するため、スタインウェイピアノのある暮らしを感じることのできるヨーロッパの邸宅を思わせるエントランスラウンジをつくった。
壁面にはブックギャラリーを設け、スタインウェイの歴史、哲学、そして、これからのビジョンについて情報発信するため、関連する本やアイテムをセレクションし陳列した。
また、スタインウェイ&サンズは最初の特許を1857 年に取得以降、実に125以上の特許を取得しており、それらを壁面に並べ、一堂に眺めることのできるパテントウォールを製作した。
パテントウォールの壁面は、ピアノの黒塗り塗装の起源とも言われる漆塗りとし、パテント一枚一枚を掘り込みの中にディスプレイすることで、これまで培ってきた伝統と歴史を丁寧に守っていることを印象付けた。
パテントは真鍮製で砂型という伝統的な製法によって焼きあげられ、こちらもクラフトマンシップを象徴する。一枚一枚丁寧にパテントナンバー・パテントネームが刻まれており、これまでの歴史と伝統を刻印している。
フローリングは最も手間のかかるヘリンボーン貼りとすることで、スタインウェイの木工クラフトマンシップ精神をインテリア空間に再現した。また使用する木材はピアノで使われているブナ・ブビンガ・ウォールナット・メープル・マホガニーの5種類を使用した。
これらによって、伝統と実績に裏打ちされた重厚感のあるインテリアを実現している。
■ショーケースとしてのチューニングルーム
チューニングルームで一流の調律師がピアノを仕上げている姿をショーケース化することで、訪れたお客様に対して商品に関するブランドへの安心感や憧れを抱いてもらうよう意図した。
調律時以外は、スポットライトを浴びたピアノが建物外から見ることができ、昼夜を通して街を歩く将来のお客様へアピールし、クラフトマンシップを駆使し年月をかけて完成された、まさに芸術作品が飾られる「ショーケース」となる。
壁面は、コンサートホールの壁面の反響板と同様の効果を生み出すため、凸凹のある壁面とし、こちらもピアノで使われているブビンガとメープル材を使用した。スタインウェイピアノの響き板に使用されているリブ構造をそのまま壁面に設け、連続するリブによってうっすらとピアノの形が浮き上がらせ、コンサートホールの緞帳を想起させる。